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2013
06.30

冬菩提樹(シナノキ)と宮澤賢治

Category: 自然観察
わが集落の墓地の横にあるフユボダイジュの花が満開になった。
カメラを構えながら樹の下に潜りこむと、その甘い芳香に圧倒される。

しかし、その香りは決してベタつくような甘さではなく
どこか清楚で気品のある甘さである。

2013-06-30- (2)





2013-06-30-.jpg

フユボダイジュは、シナノキ科シナノキ属の落葉高木で
樹皮などの繊維が大変に水に強いことから、
かつてアイヌの人々は建築物の結束をする縄や糸として利用していた。
その事からシナノキの語源を、牧野富太郎博士は
「結ぶ」という意味のアイヌ語から来ているのではないかと推測している。

尚、東北地方の方言とされている「マダ、マンダ」とは、
シナノキの樹皮のことであり、マタギの語源もここから派生していると言われている。

そして和人達も、江戸時代まで野良着や袴の布地に使っていたという。
シナノキは昔人の生活に欠かせない植物だったようだ。

ちなみにシナノキの学名である Tilia というラテン語は「繊維性の」という意味がある。
やはり西洋でも同じように利用されていたようだ。


2013-06-30- (1)
一心不乱に蜜を求めるマルハナバチ。他にも蝶などたくさんの昆虫が集っている。

さて、かの宮沢賢治はシナノキ(菩提樹)の樹皮を前出の「マダ」とあて
彼の愛した種山ヶ原(※)を題材にした戯曲「種山ヶ原の夜」の「種山ヶ原」という歌の一節に詠んでいる。

春はまだきの朱雲(あけくも)
アルペン農の汗に燃し
縄と菩提樹皮(マダ)にうちよそい
風とひかりにちかひせり


僕はこの歌も好きだが
同戯曲中の「牧歌」という歌を聴くたびに
何故か胸が締め付けられるほど切ない気持になる



(※)種山が原 / 岩手県奥州市(江刺区)・遠野市・住田町にまたがる物見山(種山)を頂上とした高原地帯


「世界全体が幸福にならないかぎりは、個人の幸福はありえない」

ハート形をした緑の葉をたわわに付け
甘い香りに満ちた枝と枝の間から
わずかな木漏れ日とともに
そんな賢治の言葉が降り注いで来た

 

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